足の腱炎(長趾伸筋)とその経過

サッカー 高校生

先月から院されている患者さんの症例です。

 

症状…足の腱炎(長趾伸筋腱炎)

 

最初は来院3日前から患部に痛みを感じ始めたところから始まり、競技中に更に痛みが悪化し歩くたびに痛みが増してきて当院に来院される前日に整形外科を受診して検査を受けたところ「骨折の疑いがあるから後日MRIを撮りましょう。」と診断を受け「まずこの痛みをなんとかしたい!」とのことで当院を受診されました。

 

 

カウンセリングと検査から「長趾伸筋腱」の炎症を確認

来院した際に歩き方をみて「骨折の可能性はほぼ無いだろうな」と思いながらも「骨折の疑いがあるから」と伝えられた患者さんは「不安」も強いのでまずは骨折の検査から行いました。

 

流れとして「圧痛の確認」「音叉検査」「軸圧痛の確認」からです。

圧痛は第4指(薬指)と第5指(小指)の中足骨の上にありましたが、まだ我慢できる程度。

音叉検査は圧痛部を中心に末梢側・中枢側もくまなく行い陰性。

音叉(ルーツェ氏128Hz)

軸圧痛も幸い陰性でした。

 

やはりこの段階で長趾伸筋の腱に疑いがあったのでここから腱をターゲットにした検査をすると。

 

長趾伸筋腱に炎症が確認できました。

 

長趾伸筋の全体図です。

主に足関節の背屈・外反及び第2~第5趾の伸展に関与しています。

(つま先を持ち上げるイメージ)

 

 

 

 

今回は第4指(薬指)と第5指(小指)の腱に炎症が有りました。ちょうど足にあるアーチ(外縦・内縦・横)の横アーチ付近に炎症があったので歩行時や走行時に加重されると痛みが強く出るのが特徴的です。

 

 

 

 

 

 

今回はサッカーでのインサイドキックに代表される動きからの負担からの損傷も大いにありますが

やはり「足のアーチの低下」が一番の原因かと思いました。

患側の足が完全な偏平足からの荷重痛ですしね。

 

 

 

上記のことも含めカウンセリングを行わせていただきました。

なかなか「骨折じゃなくて腱の炎症だよ」と伝えてもそもそも「腱って何よ?」になるので当院ではタブレットで三次元で人体の構造を見ながらわかりやすく説明させていただきます。

ただ説明がどんなにしっかりできていても治療による改善の結果がみられないと納得はできないので治療も「しっかり」行わせていただきます。

 

 

治療と経過…7回の治療でどう改善したか?

初回…痛みレベル10 まずは炎症による痛みを改善しなくてはいけないのですが、やはり今回のケースにおいても股関節の左右の動きが全然違い足への負担が増してしまっているのでまずは土台の股関節・骨盤の矯正をアクチベーターで行いました。加え炎症対策で微弱電流で対応し足のアーチを矯正したうえで機能性テーピングでしっかり固定しました。次回の治療まで一週間近く空くとのことでテーピングを貼る際にはスマホで動画撮影してもらい本人で貼れるよう指導させていただきました。

 

2回目…痛みレベル4 前回からかなり痛みが引いてきて歩行時には違和感程度まで軽減したとのことで一安心。ただ翌日から競技を再開するので。できるよう治療しました。2回目ではまだ不安定な股関節の歪みを治し安定させることをテーマにしました。

 

3回目…痛みレベル2 競技再開時に痛みがなくできたとのことで更に一安心です。ここから体幹のバランスも足への負担につながるので頚椎を含め調整。

 

4回目…痛みレベル1 前回同様、体幹バランスの調整をしっかり行い全身の柔軟性が大幅に向上してきました。そして足のアーチも綺麗にカーブしてきて荷重時の負担も軽減できるようになってきました。

 

5回目…痛みレベル0(違和感あり) 5回目では競技中に痛みもでることがなくなり競技に集中できるとのこと。

 

6回目…痛みレベル0(違和感強い) 前回の治療から日数が空いていたのと合宿参加等から運動量が増加した為、競技中は問題が無かったが終わった後から違和感が強くなったとの事でした。現在の患部の状態と違和感の理由を彼女にもしっかりと説明し対応させていただきました。

 

7回目…痛みレベル0(違和感ほぼ無い) 今回は前回のような違和感も少なくなってきましたのでケアメンテナンスの方向で対応致しました。

 

 

 

 

今回は初回のカウンセリングで「競技を継続しながら治していこう」と話し合い彼女自身も自ら指導させていただいたテーピング・リハビリトレーニングを率先して行ってくれ経過は順調だと思っています。

今後は「競技におけるパフォーマンス向上」を目的に引き続きケアメンテナンスを継続する必要はありますが少しでも多く力になれれば幸いです。

 

投稿者

清水 玲
清水 玲
2003年から治療家人生をスタートし2018年「わたしの整骨院」を開業する。現在に至るまでに約16万人の治療に携わる。
資格/柔道整復師 JATI-ATIトレーナー

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