朝、起床しようとしたら酷い腰痛で

 

症状（初回来院時）

発症日の夕方に来院。通常歩行はゆっくりは可能だが「しゃがむ・立ち上がる・前にかがむ」動作はゆっくりでないと行えない。

 

検査

自覚痛（NRS）…8（鋭くズキズキ・鈍痛）

腰部…前屈痛++制限+　後屈痛+　左ケンプテスト+　左SLRテスト股関節屈曲50度ポジション+

検査から第五腰椎・仙骨間の椎間板に炎症が確認できました。

骨格バランス

今回の症例では過去に左膝半月板損傷から2回手術して痛みはないもの左膝の可動域と重心バランスが下半身から崩れており腰と骨盤を含めた上半身のアンバランスが椎間板にストレスをかけ椎間板円が発生しました。

治療目標

今回は直近で大会はないのですが（試合形式はあり）なるべく早く野球に復帰したいことから椎間板の炎症を最速で改善しつつ徹底して安静管理をしコンディションを上げていくことを念頭に臨みました。加えて過去の左膝の負傷から起因するバランスの調整も行い再負傷を防ぎ投球時のパフォーマンスアップまで考えていきました。

治療と経過

(集中治療期)

初診時（痛みの強さ8）…患部の炎症反応を助長しないよう注意しながら「股関節・膝関節・胸椎」へアクチベーター（骨格矯正）を使用し・患部周辺や支持筋へ指圧を行い筋緊張を改善させる。患部には物理治療器を使用しテーピング・コルセットにてダブル固定を施す。治療終了後は痛みはあるものの腰を伸ばして立てるようになる。

（テーピング固定）※今回のケースのテーピングではありません

 

2回目（痛みの強さ7）…引き続き炎症反応が継続しているので干渉波・微弱電流などの物理治療器を選択する。施術後にテーピング・コルセットにてダブル固定を施す。

 

3回目（痛みの強さ6）…痛み（炎症による）が軽減し本格的に短縮した筋肉の柔軟性を改善するためストレッチを使用する。治療による関節可動域・筋肉の柔軟性を改善後は股関節を中心としたエクササイズと腹圧トレーニングを行う。

 

4回目～7回目（痛みの強さ3～4）…前回に引き続きストレッチにて柔軟性へアプローチ+指圧での筋弾力性改善を行って関節モビライゼーション（自動・他動）を開始する。股関節リハトレに加え自身でのボディコントロール向上のためマッケンジーエクササイズ（浅めの角度）・cat＆dogなど脊柱の動作訓練を取り入れる。

（マッケンジーエクササイズ）※今回のケースではありません

 

 

8回目（痛みの強さ1.5）…集中治療期間の最終日。腰の痛みから動作への支障は無くなり野球の練習も復帰している。前屈動作は手の指先が床につくように改善。骨格バランス・可動域や柔軟性の左右差が改善したが自身でコンディションを保つには不安があるので治療とセルフケアを並行していく。

（メンテナンス期間）

9回～10回目（痛みはなし。時折鈍痛）…試合へ参加し7イニング無事に投げ切る。競技中は不調を感じないが時間が経つと筋肉疲労から腰が重くなってくる。治療によるメンテナンスを行ったあとにセルフケア方法の確認と腰を支える筋力向上トレーニングを指導する。

 

11回目（痛みなし）…前回から1か月ぶりにチェック。筋力向上トレーニングを継続し以前より「腰が疲労しにくくなった」。今回はアクチベーター（骨格矯正）・ストレッチ・指圧を行い関節可動域・筋肉の柔軟性を改善して終了する。

 

 

行った治療方法

治療を振り返って

今回の症例は一般的なぎっくり腰に加えて「過去の古傷」が影響しバランス不良から起きるタイプでした。

初期対応が適切に行えれば患部のコントロールも難しくはないのですが全体のバランスを調整して行っていかないと治癒期間も変わり再負傷のリスクは残ったままです。

「今ある痛みを改善する」は当然です。そこにどうしたらその方がもっと良くなるかということをこれからも忘れずに日々の治療に臨んでいきたいと思います。

お怪我をしてしまったり慢性でお悩みの方、ぜひご相談ください。