股関節が痛い(股関節拘縮)~治療レポート~

3週間前に突然、右股関節に痛みが出て普通に歩けない

50代 女性 会社員

来院理由 3週間前から右股関節に痛みがあり普通に歩けない
通院回数 13回
治療メニュー 整骨治療60分(保険併用治療)

 

症状(初回来院時)

初回、当院の入り口前には4段ほどの段差があるのですが、そこを登ぽる際に手すりに掴まりながら痛みをこらえてご来院されました。カルテ記入時に椅子に腰かけて頂くのですが「座り動作・立ち動作」ともに「イタタタタ…」という声を出していました。

検査

自覚痛(NRS)…7(ズキズキ・ジワジワ痺れる・鈍痛)

日常生活上の痛み

夜間・起床時の痛み+

立ち・座り動作痛+

靴下・下着着脱時に右股関節を曲げるのが痛い

右股関節を中心に腰・背中・左肩甲骨まわりのコリが辛く息苦しい。

 

徒手検査

右股関節…屈曲不能 外転・外旋制限+

腰部…前屈痛+ 後屈は腸腰筋ロックの為不能

加えて視診において右股関節ロックに関連して「立った」状態でも右ひざが曲がってしまっていました。

圧痛点…恥骨結節・小転子・腸腰筋停止部

念のため「関節包内」テストのscouring test,Patric testなど行うが陰性。

骨格バランス

過去の外傷歴

大きな骨折・脱臼・捻挫の既往歴は無い。

しかし10年近く前から耳鳴り・めまい・振戦(手、頭、声帯、体幹、脚などの体の一部に起こる、不随意でリズミカルなふるえ)がある。

 

検査の結果、関節包外の問題で「股関節周囲炎」とそれに伴っておきる股関節拘縮と判断しました。

治療目標

今回は3週前に発生した炎症が起因し現在も「炎症反応」と「拘縮状態」が同時に起きてしまっているのでまずは優先的に炎症から引かせることにしました。

ただ拘縮や他部位の緊張や可動制限が回りまわって股関節に負担をかけることは間違いないので同時に「他部位の緊張緩和」と拘縮に対して可能な範囲でアプローチしていきます。

初回での「創傷治癒過程」は炎症期+増殖期というイメージ。

これをいかに改善していくかがテーマですね。

 

治療と経過

初診時(痛みの強さ7)…まずアクチベーターで腸腰筋腹・腹斜筋・腹直筋などに刺激を与えて緩め膝・足首の調整を行い股関節拘縮によるロックを外しました。後ろ側のお尻などからの刺激は前側に痛みが伝わらなかったので、そのまま全身を施術しテーピングで股関節周りの筋群をサポート。

治療後、立ち上がり時痛が軽減し歩きやすくなりました。

2回目(痛みの強さ6)…前回より4日後に来院。前回から翌日にかけて痛みが楽だったが痛みが徐々に戻ってくる(炎症+血行障害)。引き続き治療を継続する。翌日から出張で長時間移動が控えているとのことだったので動作の注意点を指導する。

 

3回目(痛みの強さ6)…痛みはさほど変わらないが股関節可動域は改善方向に。「痛み」に対してベーシックな治療法に加え微弱電流を使用し「発痛物質」の分解を狙う。

治療後の自覚痛が軽減し運動指導(体操メイン)を行う。

運動指導⇨マッケンジーエクササイズ・ヒップリフト・内転筋収縮動作

日常上の姿勢(猫背+巻き肩)が軽減しないと今後の症状が改善しないことを説明したうえで予防・改善体操を指導する。

終了後、今までで一番歩きやすくなる。

 

4回目(痛みの強さ4.5)…右股関節の屈曲可動域が広がってきた。腰部・背部・肩甲骨周りのコリは感じない。

治療後に日常のデスクワークの不良姿勢から「背骨」の可動域が制限され代償的に股関節への負担を考慮し運動指導を行う。

 

(キャット&ドッグ体操)

 

 

5回目(痛みの強さ4)…炎症による痛みは無くなる。股関節拘縮によるジワジワと鈍痛はある。硬直した筋肉に対し他動運動と自動抵抗運動を開始。終了後、動きが大幅によくなり驚かれる。

治療後、新しく肩甲骨の可動を改善するチューブエクササイズを行う。

6回目~11回目(痛みの強さ4~2)…炎症が無くなったのとご本人の希望により6回~11回は2週に一回の間隔で治療する。基本はセルフケアにて関節可動域が悪化しないよう心掛けていただき各治療回ごとにアプローチする。

終了後はセルフケア運動の確認とチューブやケーブルを使用したトレーニング(筋力強化)を実践する。

 

12回目と最終回(ほぼ痛みなし)…歩行時の歩きにくさや日常動作での支障は無くなり今後は治療ではなく「股関節の安定のための筋力強化」を継続していくことが望ましいと判断し最後の2回は身体を調整した後に運動指導を実践しました。

行った運動指導⇨ドローイン(腹横筋)・ヒップエクステンション(大殿筋)・ワイドスクワット(下肢の筋群)・内転筋トレーニング(内転筋群)・ラットプルダウン(広背筋)・ローイング(僧帽筋

 

 

行った治療方法

治療を振り返って

今回の症例は股関節の炎症から拘縮まで起きてしまったケースでした。

もし痛めた3週前からすぐに治療できていれば「拘縮」は起きずに治療期間も短くなったのでは?と思います。

しかし拘縮が発生したケースでは治療期間は短かったとも思います。

今回のケースも患者様自身の積極的なセルフケアや日常生活の改善などがあり結果が改善されホッとしています。

 

痛めてしまったら「なるべく早め」に、しかし慢性でお悩みの方も諦めずにぜひご相談ください。

 

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投稿者

清水 玲
清水 玲
2003年から治療家人生をスタートし2018年「わたしの整骨院」を開業する。現在に至るまでに約16万人の治療に携わる。
資格/柔道整復師 JATI-ATIトレーナー