肩が痛くて挙がらない 30代 男性
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上にあるものを取れない「肩峰下インピンジメント症候群炎」
昨日、ご来院された患者さんの症例です。
症状…肩峰下インピンジメント症候群(棘上筋タイプ)
1週間前から右肩に違和感と動かした際に弱い痛みがあったのが一昨日からは洋服を着替えるのも困難になり受診されました。
加え職業柄、デスクワークで万年肩こりには悩んでいたとの事です。
カウンセリングと検査から「棘上筋」の炎症を確認
圧痛部は肩峰下と棘上窩に+
次は実際に可動域の検査も
挙上痛+(140度で痛みによる可動制限+)
外転痛++(95度で痛みによる可動制限+)
結滞・結髪動作(肩を後ろに引く動作)不可
二アーテスト+
ホーキンステスト+
ドロップアームテスト-(痛みはあるが抵抗には耐えられました)
一応、上腕二頭筋や滑液包損傷も可能性にいれスピード・ヤーガソン・ドーバンテストも加えるがいずれも-。
夜間痛はさして無く寝返りで痛みと重苦しさで何度か目が覚めるとの事でした。
今回の症状は肩峰下インピンジメント症候群の棘上筋タイプでした。
これは肩関節の作りとそれを支える腱板の画像です。(腱板とは棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋の4つの筋肉を総称して呼びます。肩関節の可動においては補助となる筋群ですが不安定な構造をもつ肩関節を「支えている」もの凄く重要なインナーマッスル)
今回はその中でも「棘上筋の腱」が傷つき炎症がおきてしまっていました。
どうしても「棘上筋」は肩甲骨の肩峰下と上腕骨の間の細い隙間を通過しているので擦れやすいんです。
特に肩が前に入っている方は要注意!
今回の患者さんは仕事のデスクワークで猫背姿勢で長時間過ごしており慢性的な肩こりもあり「肩関節自体の可動域」を悪くしてしまっていたのも一因でした。
加え猫背が強過ぎるのでなにか「内科」的な要因もないか既往歴を探ってみると「喘息」持ちとういうことも分かりました。
「喘息発作」からも姿勢が悪くなる要因だったんですね。
そしてあともう一つ、気になることが。
当院に到着して問診表を座って書いている時の座り方です。
座って「すぐ」に足を組んでしまっていたのです。
これはバランスの土台となる骨盤が傾いているはずです。
もともと傾いているとまっすぐ座ろうとすること自体がストレスになり足を組み悪い意味でバランスを取ってしまう。
股関節の可動域を調べる為に屈曲テストをしてみると案の定左右差がかなりありました。
「肩関節」と「股関節」は位置は違えど共通している部分が多く「球関節」・「腕の付け根」「足のつけ根」・「腕の振り」「足の出方」においても密接に協調運動をしているんです。
では「股関節」の動きが悪ければ「肩関節」の動きは?
当然、可動域の制限が起きるわけですね。もちらん逆もしかり。
それらのこともしっかりご説明して治療です。
治療…いかに肩に腕の重さ(負担)をかけない状態にするか
炎症部位の肩峰下・棘上窩を集中的に刺激して、患部を支える三角筋や僧帽筋にも刺激して活性化。
アクチベーターで股関節・骨盤の歪みを治し遠隔的に肩関節の可動性を改善。
肩の治療は普段頚から調整することが多いのですが肩の炎症が頚側にも広がってきていたのであえて手先から調整。
そして背中の胸椎の動きを改善し胸と肩が「広がり易い」ように変えました。
今回のような肩のトラブルではいかに「頭と腕の重さ」が肩にかからないようにするかが最も大事です。
頭の重さは全体重の7~10%。片腕の重さは5~6%あるので…
仮に男性で60キロあるとしたら頭5キロ前後、腕3.6キロ。
合わせると8.6キロ前後。
この重みが傷口に乗っかってしまったら???
ということで最後にテーピングでも目的として「胸郭拡大」「腕の重さの軽減」です。
これがしっかりできるかで予後が大きく変わってきますからね。
今回は4方向からしっかりとめました。方向性も大事でいかに「胸郭拡大」「腕の重さの軽減」から肩への負担が軽減できるか?
今回の治療でのハイライトになります。
また次回もしっかり治してできれば経過をアップしたいと思います。
投稿者
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2003年から治療家人生をスタートし2018年「わたしの整骨院」を開業する。現在に至るまでに約16万人の治療に携わる。
資格/柔道整復師 JATI-ATIトレーナー
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