後脛骨筋腱炎の患者様
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後脛骨筋腱炎
あまり聞きなれない「後脛骨筋」。
その腱部に炎症を起こすと「後脛骨筋腱炎」という立派な怪我の名前がつきます。
今回は症例の中ではややマイナーな部類に入る「後脛骨筋腱炎」で来院された患者様の症例です。
症状…後脛骨筋腱炎
来院前日に足を捻ってしまったがその時は歩く時には強い痛みもなく支障が無かったが翌朝起きると足首全体と内くるぶし、土踏まずに強い痛みがあり来院されました。
検査の結果からすると捻挫による靭帯損傷は無く「後脛骨筋腱炎」でした。
一見、痛めた状況や痛みの場所から「足首を捻った」→「靭帯を痛めてしまった」なんて安易に考えがちですよね。
実際に捻挫と誤診される事も多いです。
検査から「後脛骨筋腱炎」の炎症を確認。そしてカウンセリングで「治癒目標の設定」
視診
カウンセリングの前に簡単に患部の外見を確認。腫れ・腫脹は無し。
触診
続いて圧痛の確認。
足首捻挫で代表される前距腓靭帯・三角靭帯・二分靭帯・前脛腓靭帯などくまなく確認したが違和感はあっても靭帯部分の圧痛は陰性。
続いて腱部の確認。
土踏まずを押すと飛び上がるほどの痛みが出て外側では外くるぶしの後ろ側にやはり圧痛が出
ました。
この時点で靭帯損傷よりも腱損傷の可能性が強まります。
関節運動と抵抗運動による検査
関節の動きもチェック。
足首の動きに「緩み」が確認できたので過去の捻挫経験を確認すると「何度もやっている」とのことでした。
何度も捻挫をしていると「炎症(腫れ・熱感)」が出にくくなる傾向にあります。これも誤診の要因になるので要注意。
そして腱に対して抵抗運動を加えると痛みが再現できました。
カウンセリング
今回の患者様はアスリートなので「現在の負傷部位と状態」と「治るまでの道筋」をしっかり説明した上で「競技を休んで治す」か「競技を継続しながら治す」かを話し合いました。
「できることなら休みたくない」「夏に大きな大会が迫っている」とのことでリスクも説明し納得した上で「治しながら競技を継続し治そう!」という方向性で進めることになりました。
そもそも「後脛骨筋腱炎」とは?
「後脛骨筋」
下腿(ふくらはぎ側)にあるインナーマッスル。
筋肉としての役割として足関節の底屈・内反に関与し足のアーチ構造に関係しています。
簡潔に言うと「体重をかけた時に足を安定させる」「歩行機能のサポート」を行ってくれるとても大切な筋肉です。
ランナー・バスケット・サッカー・テニスなどの競技で負傷することが多いです。
競技だけでなくウォーキングのやり過ぎでも負傷する方もいます。
過度に負担がかかり後脛骨筋の腱が繰り返し引っ張られたり圧迫されたりするとだんだんと傷口ができ炎症し足に体重をのせるだけでも強い痛みが出ます。
程度によっては歩くことにも支障が出ます。
原因として「使いすぎ」が挙げられますが真の原因は「偏平足(アーチの低下)」といっても良いかもしれません。
アーチを治さずにして後脛骨筋腱炎の改善は難しいです。
まったくの余談ですが過去に私も負傷したことがあります。
勤務時代に書いていたブログがあるのでご興味があるかたはお読みください!
後脛骨筋腱とアキレス腱の炎症
後脛骨筋腱炎の治療と過程
後脛骨筋腱炎時のリハビリトレーニング
もう5年前に書いたものなので「つたない文章かつ治療内容」についてはご了承ください(笑)
では本題に戻っていざ「治療」です!
治療と経過…負傷から一週間で競技に本格復帰
今回用いた治療法…アクチベーター・メディカルストレッチ・関節矯正・筋膜リリース・微弱電流・テーピング
今回は「競技を継続しながら治す」という目標があるのでテーピング固定におもきをおきました。
まずは偏平足(アーチ崩れ)の矯正です。
左図をみると親指から小指を結ぶ部分にカーブがなく「直線」になっています。
親指は上に向きつつ内側に捻れ、小指は下を向きながら捻れた状態です。
これでは足底全体で接地ができず体重・衝撃を吸収できません。
テーピング固定後。
しっかりとカーブができ指の間隔もしっかり開き足底全体でしっかり接地できるようになりました。
この状態で歩くと驚くほど楽なになると皆様喜ばれます。
そして負傷部のサポートでは後脛骨筋・前脛骨筋・腓骨筋・足関節に対し固定をかけました。
ただこれで負荷をかけてしまうと炎症が起きてしまうので今回は足関節用のサポーターを同時併用しました。
一週間のうちに三回治療し、三回目の時には自覚痛もなく翌日には本格的に「競技を再開」する運びになり一安心です。
しかし競技は再開できても組織修復までにはまだ時間がかかるので、継続してしっかりサポートしていきます。
投稿者
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2003年から治療家人生をスタートし2018年「わたしの整骨院」を開業する。現在に至るまでに約16万人の治療に携わる。
資格/柔道整復師 JATI-ATIトレーナー
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